老人性イボ(脂漏性角化症)を治療するための方法として、液体窒素を用いた「凍結治療」という治療法が昔から使われてきました。
液体窒素を老人性イボに押し当てると、イボ周辺の古い角質が低温やけどにより壊死して剥がれやすくなるという効果があります。
凍結治療のメリットは、来院したその日に治療を受けられるという手軽さです。小さめのイボならその日のうちに治療効果を期待できますし、レーザー治療に比べると料金も安くて済みます。
実は老人性イボの治療効果が高いと医学的に認められている治療法は少ないのですが、凍結治療は数少ない「有効性が証明されている治療法」なので安心して治療を受けられるのも魅力です。
ただし液体窒素を肌に押し当てて低温やけどを負うわけですから、それなりに痛みを感じることは覚悟しなくてはなりません。また、凍結治療で取ったイボは再発する確率が高いため、完治するまでには何度か通院を繰り返す必要もあります。
凍結治療はイボ治療において最も一般的で手軽な方法ですが、デメリットも少なくないということも知っておきましょう。
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液体窒素療法の治療期間と通院回数
老人性イボを凍結治療で治すには、根気よく皮膚科に通院する必要があります。凍結治療は老人性イボの治療において確実な方法ですが、たった数回の通院で治るほど速攻性のある治療法ではないのです。
医師の診断によって通院期間・通院回数は変わってきますが、治療期間中は1週間に1回程度のペースで通院するのが一般的です。治療と治療の期間をそれ以上空けてしまうと老人性イボが再発しやすくなってしまうため、面倒でも必ず完治するまで治療を続けましょう。
通院には医師が経過観察を行う意味もあるため、見た感じイボが減ってきたと思っても最後まで通院をやめてはいけません。また、通院期間や通院回数はイボができた場所によっても変わります。
例えば手足や顔などにできたイボの場合、治療回数は2~3回程度で済むため、治療期間は1ヶ月ほどということになります。
顔や首まわりにできた老人性イボの場合はもう少し厄介で、確実な治療を望むなら10回~15回ほどの治療回数を重ねなければ再発の恐れが高まります。そのためトータルの治療期間は少なくとも3~4ヶ月を見積もっておいたほうが良いでしょう。
もちろんこれらの治療期間・治療回数はあくまで目安であり、実際にかかる期間や回数は医師の診断によって大きく左右されます。老人性イボは再発性の高い症状なので、治ったかどうかは自己判断せず、ちゃんと医師に経過観察してもらうようにしましょう。
老人性イボを液体窒素で治療すると跡は残る?
結論から言って、老人性イボを液体窒素で治療すると跡が残ることは否定できません。
ごく小さな範囲とはいえ、液体窒素で皮膚を焼くのですからやけど跡が残る例もゼロではありません。
しかし、跡とはいってもそんなに目立つようなものではありません。
もともとイボがあった部分に同程度の大きさのシミができるといった具合です。
大きな傷跡が残るわけではなく、少なくともイボをそのまま放置するよりは目立たない程度の跡です。
気になる方は、顔や首イボなどの目立つ場所の凍結治療は避けた方が無難でしょう。
凍結治療で残るやけど跡は本当に微々たるものですが、やはり顔や首に残っていると目立ちやすくなることは否めません。顔や首に少しの跡も残したくないという方には、跡の残りにくいレーザー治療のほうが適しているといえるでしょう。
ただ、凍結治療を行うと必ず跡ができるというわけではありません。あくまで「跡が残る可能性がある」という程度のものであり、顔や首に凍結治療を行っても全く跡が残らなかったというケースも至って普通にあります。
もしも跡が残ったとしても大抵は注意して見ないと気づかない程度の小さなものですし、過度に治療跡を気にする必要はないでしょう。万が一、凍結治療を行った箇所にシミが残ってしまったなら、美白効果のある化粧品などを使ってみましょう。
老人性イボが解消された以上、ここでの目的はシミを薄くするだけですから、一般に市販されているシミ消しクリームなどを使うだけでOKです。これで凍結治療の跡が100%消えるとは断言できませんが、かなり目立ちにくくすることは充分に可能です。
治療に掛かる料金に保険は適用される?
老人性イボを凍結治療で治療するメリットのひとつが、治療にかかる料金が安いことです。
なぜなら液体窒素を使ったイボ治療には保険適用が認められているため、患者の負担が少なくて済むからです。
ここでは、イボを凍結治療する場合の料金と保険について詳しく説明していきましょう。
そもそも老人性イボの治療には、同じ病院であっても保険が適用される場合とそうでない場合があります。
保険が適用されるかどうかは、主に治療方法の違いによって決まります。
昔から最も一般的なイボの治療法として知られてきた凍結治療には、現在でも保険の適用が認められています。
そのため保険適用のきかない治療法に比べると凍結治療にかかる料金は圧倒的に安く、他の病気や怪我の診察を受けるときと同様、3割負担で治療が受けられるのです。
細かい金額は病院によって異なりますが、1回の通院で大体2000円前後の料金がかかる場合が多いようです。
例えば、顔に老人性イボができた方の場合、完治までには2~3回の通院が必要ですからトータルで6000円ほどの料金となります。また、治療後に薬が出た場合はその分の料金が加算されるため、実際にかかる金額はもう少し多めに見ておいたほうが良いでしょう。
イボの治療にこれだけの料金がかかると言うと、「思っていたより高い」と感じる方がいるかもしれません。しかし凍結治療は保険が適用される分、レーザー治療を始めとした他の治療法に比べるとかなり安い方です。
保険適用外の治療法で老人性イボを完治させるためには、この何倍もの料金がかかってしまうことも珍しくありません。できるだけお金をかけずに老人性イボを治したいという方は、素直に凍結治療を選んでおくのが無難だと言えるでしょう。
治療後の注意点
老人性イボは、一度治療してもしばらくすると再発する可能性の高い症状です。再発を防止するためには、完治するまで根気よく治療を続けなくてはなりません。
実は、老人性イボが再発する確率は治療法の種類によっても大幅に変わってきます。老人性イボが再発しやすい治療法もあれば、再発の可能性が低い治療法もあるのです。
そうした観点で見ると、残念ながら液体窒素を使った凍結治療は「老人性イボが再発しやすい」治療法に分類されます。
液体窒素を使うとイボがポロリと取れてしまうので、一見すると完治したように見えますが、決してそこで安心してはいけません。その場ですぐに剥がれる部分は老人性イボの表面の皮膚に過ぎず、ターンオーバーを乱す元凶となった角質はさらにその下に潜んでいることが多いからです。
古い角質を完全に除去し、正しいターンオーバーのサイクルを取り戻すためにはそれなりの時間がかかります。パッと見た感じのイボが無くなった時点で治療をやめてしまうと、かなりの確率で老人性イボは再発してしまうことでしょう。
凍結治療で全ての老人性イボを取り除くためには、かなりの根気がいることを知っておきましょう。
また、凍結治療が終了した後であっても油断は禁物です。治ったからといってスキンケアを怠ると、また紫外線や摩擦などの影響で新しい老人性イボが出てきてしまいます。
老人性イボは歳を取るほどできやすくなるので、凍結治療が成功した後にもスキンケアを続けなければなりません。再発の可能性が高い症状だけに、スキンケアで予防することこそが最も重要な対策なのです。