イボの治療に木酢液が効く!という噂は昔からありました。
こう聞くと木酢液が皮膚に塗る薬か何かのように聞こえますが、実際のところ木酢液は薬でもなければ健康食品の類でもありません。
そもそも木酢液が何なのか全く解らないという方のために、まずは「そもそも木酢液とは何なのか」ということからお話したいと思います。
木酢液(もくさくえき)とは、木や竹などを焼いたときに出る水蒸気を冷やし集めて液体化したものです。
主に木炭や竹炭などを作るときに出る副産物的な物質で、木材由来の酢酸やアルコール類などを含んだ液体として知られています。酢酸やアルコール類には強い殺菌作用があるため、畑に撒いて農薬代わりに使ったり、害虫除けや消毒剤としても利用されてきました。
かつては民間療法における薬として使われることもありましたが、現代の医学では木酢液を医薬品として認めていません。今でも木酢液はホームセンターなどで簡単に手に入りますが、その用途は主に動物除け・害虫除け・土壌改良・消臭剤・消毒剤などに限られます。
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木酢液を老人性イボに塗って得られる効果とは?
上記でご説明した通り、木酢液は医薬品ではありません。
医薬品としての薬効が認められていないのですから、害が無いとは言え皮膚疾患の一種である老人性イボに塗っても効果は無さそうに思えます。
しかしひとまず真偽は置いておくとして、巷で噂される「イボの治療に木酢液が効く」という話には、以下のような根拠に基づいているようです。
殺菌作用
薬効こそ認められていませんが、木酢液に強い殺菌作用があるのは事実です。木酢液には酢酸やアルコール類といった、菌類が嫌う成分がたっぷり含まれているからです。
菌やウイルスが感染することで発生する「ウイルス性イボ」の治療には、殺菌も兼ねて昔から木酢液が使用されてきたという経緯があります。ただし注意したいのは、老人性イボは菌やウイルスとは無関係であるという点です。
老人性イボは肌のターンオーバーが乱れることで発生するもので、その原因に菌やウイルスは全く関わっていません。ウイルス性イボならまだしも、老人性イボを殺菌作したところで症状が改善するという話には大きな疑問が残ります。
イボが剥がれる
数週間続けて老人性イボに木酢液を塗っていたら、イボがポロリと落ちたというネットでの書き込みがちらほら見受けられます。しかしその体験談をよく見てみると、「カサブタのようになっていた」とコメントしている方が多いことにも気づきます。
老人性イボがカサブタのようになって落ちるというのは実はちょっとおかしな話です。そもそも老人性イボは古い角質の塊であり、その内部に血管が通っているわけではないので本来なら出血しませんしカサブタもできません。
カサブタになっていたというのが本当なら、それは老人性イボではなく「ウイルス性イボ」や「魚の目」だった可能性が高いといえます。
息子の足指に出来たイボ。昔自分もできて病院で液体窒素治療を3年受けるも全く治らず、木酢液が良いと聞き試した所1ヶ月経たずに完治。治療一週間でイボの芽が死にかけてきました。※やり方はコットンにたっぷり木酢液を染み込ませて絆創膏で貼っておく。#尋常性疣贅#イボ pic.twitter.com/6Sy9JUWpI3
— TZvsX (@supertzx) 2017年4月28日
実はほとんど効果が無い!?
木酢液を老人性イボの治療に使用している人の話を聞くと、大抵は木酢液が持つ「殺菌力」に期待していることがわかります。また、ネットで「老人性イボに木酢液が効く」と書かれているサイトを調べてみても、そのほとんどが殺菌力を根拠にしています。
しかし前述の通り、老人性イボの改善において殺菌力はあまり関係がありません。
そのうえ老人性イボに木酢液の使用を推奨しているサイトの多くは殺菌力以外に信憑性のある根拠を持っていないことがほとんどです。残念ですが、老人性イボに木酢液を塗ることに大した意味はないと考えてよいでしょう。
確かに一昔前までは、イボの治療に木酢液が使用されることがありました。しかし当時でさえ木酢液を使った治療は民間療法の域を出ず、医学が進歩した現在では全く推奨されていない方法なのです。
木酢液以外のケア方法を選ぶのが無難
木酢液を使って老人性イボを治療することは、逆効果とは言わないまでも効果的な方法とは言えません。なぜなら現代には、少なくとも木酢液を使うよりは遥かに効果の高い老人性イボの改善法がいくらでもあるからです。
ここでは、代表的な老人性イボの改善法をいくつかご紹介しておきます。もしも今アナタがワラにもすがる思いで木酢液を使った治療を試そうとしているなら、まずは以下の方法を実践してからでも遅くはないはずです。
1.病院での治療法
最も確実で手っ取り早い方法は、皮膚科を受診することです。
老人性イボには痛みがないので「わざわざ病院に行くほどでは…」と躊躇する方もいますが、皮膚科に行けば意外なほどすんなり治療してもらえます。当たり前ですが、病院での治療において木酢液が使われることはありません。
病院で老人性イボを治療するにはいくつかの方法があります。なかでも全国的に普及率が高いのが、液体窒素を使ってイボを焼き切る「凍結治療」や、炭素ガスレーザーでイボを的確に切除する「レーザー治療」です。
どちらも施術したその日にイボが無くすことができるため、即効性という点で言えば病院での治療がベストです。デメリットとしては、凍結治療の場合それなりに痛みを伴うことや、レーザー治療の場合は治療費がかさんでしまうこと等が挙げられます。
できる限り早く治したい場合はもちろんですが、自宅ではケアが困難なサイズの老人性イボができてしまった場合にも、一度病院で診てもらうことをオススメします。
2.イボケア化粧品を使う方法
自宅で老人性イボのケアを行うなら、木酢液を使うよりよっぽど効率的なのが「イボケア化粧品」です。イボケア化粧品は肌のターンオーバーを促す成分を配合したもので、普段のスキンケアに使用することで新たな老人性イボの発生を抑える役割も期待できます。
イボケア化粧品にもメーカーごとにいくつかの種類がありますが、多くの製品に配合されているのが「ヨクイニン」です。
ヨクイニンはハトムギの種子から抽出される成分で、肌のターンオーバーを促す効果が医学的にも認められています。木酢液とは違い、ヨクイニンは皮膚科で処方箋として出されることもあります。
ヨクイニンを含んだイボケア化粧品のなかでも、アクアビューティの「艶つや習慣」や、メニーナジュ―の「クリアポロン」などは女性に絶大な支持を得ています。
肌を内側から綺麗にすることで老人性イボにアプローチをかけるイボケア化粧品は、病院で治療するような即効性こそありませんが、木酢液よりもよっぽど高い効果の見込める自宅ケア方法です。
3.生活習慣の改善
老人性イボは加齢によって生じる皮膚疾患ですが、普段の生活習慣によっても発生リスクが大きく変わります。日常生活を見直して、老人性イボの原因となる行動を控えるだけでも高い抑制効果が見込めるのです。
老人性イボの原因としてよく語られるのが、紫外線・乾燥・摩擦の3つです。
日焼け止めも塗らずに日中に外出することが多かったり、保湿ケアを怠って肌を乾燥させたり、アクセサリーを着けっぱなしにして肌に摩擦を与えたりすると、若くても老人性イボができやすくなります。身に覚えのある方は、まずこの3つの原因を避けるように心掛けてみましょう。
それ以外に、暴飲暴食や睡眠不足、ストレスなども関節的な原因になり得ます。生活習慣が乱れると肌のターンオーバーが上手く行きにくくなるので、古い角質が溜まって老人性イボができてしまうのです。
それでも木酢液を老人性イボに使用したい方へ
殺菌効果という点以外に、皮膚に塗るメリットが無いとみられる木酢液。
老人性イボを治したいならもっと有益な方法がいくらでもあるはずなのですが、それでも老人性イボに木酢液を塗る方が後を絶ちません。地域によっては木酢液を使った民間療法が未だに根付いていることがあるため、ある程度は仕方のないことだといえるでしょう。
どうしても木酢液を使用してみたいという方は、せめて使用方法を間違えないようにしてください。本来、木酢液は直接皮膚に塗るには刺激が強すぎるため、扱い方を違えると治療どころか症状を悪化させる恐れもあるということを頭に入れておきましょう。
まず、使用する木酢液は添加物の入っていないものを選びます。そして原液のまま使用するのではなく、水で4~5倍に希釈してから使用するようにします。希釈した木酢液は、綿棒やコットンなどに染み込ませてからイボに当て、10分程度そのまま放置します。
もしも途中で痛みや違和感を感じた場合は、ただちに木酢液の使用を中止してください。また、皮膚にキズがある場合は危険なので木酢液の使用は控えるようにしましょう。